
ふと夜空を見上げたとき、月が二重に見えたりした経験はありませんか。
「疲れているのかな?」なんて思うかもしれませんが、もしかしたらそれは、私たちの目が持つ高度な能力「両眼視(りょうがんし)」に関わるサインかもしれません。
ものが二重に見える不思議な現象を例に、私たちの「見る」を支える両眼視について、特にメガネに関するお話をしていきたいと思います。
私たちは「2つの目」で「1つの世界」を見ている
私たちは物を立体的に捉える事が出来ます。
それは、左右の目がそれぞれ少しだけ違う角度から対象物を見てるからです。

例えば、目の前に一本の木があると想像してみてください。
右眼から見た木の映像と、左眼から見た木の映像には、わずかなズレ(視差)が生じます。

この二つの異なる情報を、私たちの脳は瞬時に処理し、一つに統合(これを「融像」と言います)します。
この働きのおかげで、私たちは木を一本の立体的な存在として認識できるのです。
この、左右の目で見たものを脳で一つにまとめる能力こそが「両眼視」です。
両眼視が正常に機能しているからこそ、私たちは物の奥行きや距離感を正確に把握し、日常生活をスムーズに送ることができています。
なぜ物が二重に見えるのか?
では、なぜ物が二つに見えるといった現象が起こるのでしょうか。
それは、何らかの理由で両眼視の仕組みがうまく機能していない状態と言えます。
つまり左右の目の視線が、見たい対象に対して正しく向いていない場合に起こります。

例えば、片方の目が少し外側や内側を向いてしまっていると、右目と左目が見ている位置に大きなズレが生まれます。
脳に送られてくる二つの映像のズレがあまりにも大きいと、脳はそれを一つに統合することができず混乱してしまいます。

その結果、物が二つに見える「複視」という症状が現れます。
これが、月が二つに見える現象の正体です。
本当は一つしかない月が、まるで二つ存在するかのように見えてしまうのは、脳が二つの映像を処理しきれずに、両方をそのまま映し出してしまっている状態なのです。

複視がある人の場合、片目をふさぐと一つに見えるというケースがよくあります。
試しに片方の目をふさいで見てみてください。
片方の目をふさいでダブりが収まるという方は、両眼視機能に何か問題があるのかもしれません。
その「見えにくさ」、まずはご相談ください

物が二重に見える原因は、単なる目の疲れやメガネの度数が合っていないことから、目の位置を調整する筋肉や神経の問題(斜視など)、あるいは他の病気が隠れている場合まで様々です。
「どこに相談すればいいのだろう?」と不安に思われるかもしれません。
当店では、まずお客様のお話をじっくりお伺いし丁寧な検査を通して「見えにくさ」の原因を探ります。
検査の結果から、お客様の見えにくさがメガネでサポートできる範囲なのか、あるいは一度眼科でご相談された方が良いケースなのか、専門的な知見をもとに丁寧にご案内いたします。
もし目の病気の可能性が考えられる場合は、お客様の健康を第一に考え眼科の受診をお勧めしておりますので、どうぞご安心ください。
一方で、度数の調整や「プリズムレンズ」という特殊なレンズを用いたメガネで、そのお悩みが解決することも少なくありません。
クリアで快適な視界を取り戻せる可能性は十分にあります。

私たちの世界を立体的に豊かに彩ってくれる両眼視。
この大切な能力を、これからも一緒にいたわっていきたいものですね。
まずはお気軽にご相談ください。