度数検査をして頂く際に、大切な要素があります。
それは、あなたがどこを、どのくらいの距離で見たいのかという具体的な情報です。
見やすいメガネが仕上がるかどうかは、この「距離」という問題が大きなキーワードになってきます。
一口に「近く」と言っても、これほど違う

私たちは日常生活の中で、無意識に様々な距離にピントを合わせています。
スマートフォンを操作する時の距離、読書をする時の距離、そしてパソコンの画面を見る時の距離。
これらはすべて「近くを見る」という動作に含まれます。
しかし、メガネの世界ではこれらの「近く」はそれぞれ全く別の距離として扱われます。
スマートフォンであれば目から20センチから30センチ程度、読書なら30センチから40センチ、デスクトップパソコンの画面であれば50センチから70センチほど離れているのが一般的です。
このわずか数十センチの差が、メガネの見え心地に大きな影響を与えます。
- スマートフォン→20~30cm
- 読書→30~40cm
- PC→50~70cm
目的によって度数は変わってきます。
もし、この距離が実際の生活とズレてしまうと、せっかく新調したメガネでも見えづらかったり、目が疲れやすくなったり、姿勢が悪くなったりする原因になってしまいます。
「遠く」の捉え方も人それぞれです
近くの距離だけでなく、遠くを見たいという場合も同様です。
車の運転で道路標識をしっかり確認したい「遠く」なのか、自宅のリビングでくつろぎながらテレビを見る「遠く」なのかによって、最適な度数は変わってきます。

運転用の度数でテレビを見ようとすると、人によっては見え方が強すぎて目が疲れてしまうこともあります。
生活環境や、どのような場面でそのメガネを最も使いたいのかを明確にすることが、快適な視生活への第一歩となります。
正確な測定のために、ご自身で距離を測ってみる
満足度の高いメガネを作るためには、検査の前にご自身の生活空間での距離を測ってみることをおすすめします。
実際にメジャーを使い、目からパソコンの画面まで、あるいは趣味の手芸をしている時の手元までの距離を数値として把握してみてください。
その具体的な数値を教えて頂ければ、より正確で生活に即したレンズ選定が可能になります。
ご自身で把握されていない状態で検査を進めると、平均的な距離で度数を合わせることになり、出来上がった後に「思っていたのと違う」という結果になりかねません。
実際のものをご持参ください

もし仕事や趣味で使うメガネを作りたいのであれば、そこで使う実物をぜひお持ちください。
楽譜、編み物の道具、模型製作のパーツ、あるいは仕事で使う特殊な端末など、実物があることで検査の際に実際と同じ環境で見え方の確認ができます。
「この距離で、このくらいの大きさのものが、これくらいハッキリ見える」という感覚をその場で共有できることは、何よりの安心材料になります。
快適なメガネ作りは、お客様と私たちの共同作業によって生まれます。
まずはご自身の周りにある「見たいもの」への距離を、一度ゆっくりと見つめ直してみてください。


